相続とお金の基本ガイド


 相続というと、遺言書、遺産分割や相続放棄などの法律問題を思い浮かべる方が多いかもしれません。それと同じくらい、あるいはそれ以上に気になるのが「お金」のことです。

 ・相続税はかかるのか

 ・生命保険金はどう扱われるのか

 ・年金の手続はどうなるのか

 ・実家を相続したらどんな費用がかかるのか

 ・相続した後の生活費は大丈夫なのか

 このページでは、相続にまつわるお金の基本を整理して解説します。

ウサラ

相続って、手続も大変そうだけど、正直、お金のことがいちばん不安かも…

にゃソラ

うん、その不安は自然なことだよ。相続は「財産を受け取る話」でもあるけど、「これからの暮らしをどう考えるか」の話でもあるんだ。

ウサラ

税金とか保険とか年金とか、何から見ればいいか分からないよ…

にゃソラ

大丈夫。このページでは、相続に関係するお金のことをテーマごとに整理しているから、今の不安に近いところから読んでみよう。

目次

よくある不安

相続でよくあるお金の不安

  • 相続税がかかるか分からない
  • 生命保険金が遺産に入るのか分からない
  • 年金の手続が必要なのか分からない
  • 実家や土地を相続した後の負担が不安
  • 遺産を受け取っても生活が安定するとは限らない
  • 借金や未払金など、マイナスの財産が心配

お金の問題は、法律の問題とつながっている

相続のお金の問題は法律問題でもある

  • 誰が何を相続するかで負担は変わる
  • 遺産分割でもめると生活設計にも影響する
  • 相続放棄を考えるべき場面もある
  • 「お金のこと」だけで決めると危ない場合もある

 相続とお金の問題は切り離せません。相続にまつわるお金の問題は、手続・権利関係も含めて考えることが大切です。

相続はプラスの財産だけでなくマイナスの財産も引き継ぐ

 相続は、不動産、預貯金、現金、株式といったプラスの財産だけではなく、借金、保証債務や未払金などのマイナスの財産も引継ぎます。

とりあえず相続するのは危険な場合がある

 借金、保証債務、未払金などのマイナスの財産も引継ぐことになるので、相続財産の全体がわからないまま相続の手続きを進めるのは危険です。

 借金、保証債務、未払金などのマイナスの財産を引継ぎたくないん場合は、相続放棄をする必要があります。相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申立てをする必要があります。

にゃソラ

相続放棄について詳しくは、以下の記事参照

 3カ月という期限があるため、早めの確認が大事です。

こんなときは今すぐ確認を

すぐに確認をした方がいいケース

連帯保証人になっていたかもしれない

事業をしていて、借金の額が不明

疎遠だった親族が亡くなった

相続税がかかる人、かからない人

 すべての相続で、相続税がかかるわけではありません。まずは、相続財産の全体像を把握することが大切です。

相続税の基礎控除

3000万円+600万円×法定相続人の数

 相続税の基礎控除は、上記のとおりです。たとえば、相続人が被相続人の配偶者と子2人の場合、基礎控除は4800万円です。相続財産の合計が4800万円以下の場合は、相続税はかかりません。相続財産が基礎控除の範囲内かどうかが、相続税がかかるかかからないかの一つの目安です。

 不動産や保険金などがある場合、相続財産が思ったより金額が大きくなることがあります。

相続税が心配なときに確認したいこと

 相続財産の全体を確認することが重要です。

主な相続財産

  • 預貯金
  • 現金
  • 不動産
  • 株式・投資信託
  • 生命保険金
  • 死亡退職金
  • 借金や債務

こんなときは早めに確認したい

相続税が心配な場合に早めに確認したい事項

  • 実家や土地がある
  • 財産の内容がよく分からない
  • 相続人が複数いる
  • 生前贈与があった
  • 相続税の申告が必要か判断に迷う
にゃソラ

相続人が被相続人から7年前までに受取った生前贈与、相続時精算課税制度による贈与も相続税の対象になります。

 相続で生命保険が問題となるのは、①遺産分割の対象になるか?と②相続税がかかるのか?という場面です。

生命保険は遺産分割の対象になる?

 生命保険には、①被保険者が亡くなることを保険事故とする死亡保険契約と②満期まで被保険者が生存していることを保険事故とする生存給付保険契約、③両者を組み合わせた生死混合保険契約があります。ここでは、①被保険者=被相続人が亡くなったことを保険事故とする死亡保険について取上げます。

 特定の人が保険金受取人に指定されている場合、死亡保険金は、保険金受取人の固有の財産です。つまり、相続によって取得した財産ではありません。したがって、遺産分割の対象になりません。

 保険金受取人が相続人と指定されている場合も、相続人である個人を受取人と指定したと解されていて、相続によって取得するわけではありません。したがって、遺産分割の対象ではありません。

生命保険に相続税はかかる?

 上記のように、死亡保険金が遺産分割の対象にならない場合であっても、相続税の対象になる場合があります。保険契約者(=保険料支払者)及び被保険者が被相続人、死亡保険金受取人が被相続人以外の場合は、相続税の対象になります。

 もっとも、生命保険の死亡保険金は、以下の金額までは非課税です。

生命保険金の非課税限度額

500万円×法定相続人の数

保険金のある相続で揉めるケース

 保険金のある相続で、相続人間で揉めやすいのは、以下のようなケースです。

保険金のある相続で揉めやすいケース

①特定の相続人だけが、保険金を受取った

②保険金以外に遺産がほとんどなく、他の相続人から特別受益の主張がなされる

 保険金の受取人を指定するだけではなく、他の相続人も遺産を取得するよう遺言書を作成しておくなど、相続人同士の不公平感を解消しておくことが、トラブルの防止につながります。

 年金には、公的年金と私的年金があります。ここでは、公的年金について取上げます。

親や家族が亡くなったとき、年金の手続は必要?

 年金の手続は、自動的に行われません。したがって、年金事務所に各種の書類を提出する必要があります。

年金受給者が亡くなった場合の手続

①年金受給権者死亡届の提出

②未支給年金の請求

③遺族年金の請求

 なお、「年金受給権者死亡届」については、日本年金機構にマイナンバーを届出している場合は、提出する必要はありません。

確認が必要な年金

 遺族が請求できる可能性のある年金に、以下のものがあります。

請求できるか?確認が必要な年金

①未支給年金

②遺族年金

③寡婦年金

④死亡一時金

相続とセットで考える意味

 未支給年金などの公的年金は、遺産分割の対象になりません。相続税の対象でもありません。つまり、相続とは別の制度です。

 ただ、相続とセットで考えることで、①手続漏れがなくなる、②家計の見通しを立てて③遺産分割や生活設計の判断材料にすることができます。

 相続財産に実家や土地がある場合、「預貯金より価値がありそう」「とりあえず持っておけば安心」と感じるかもしれません。

 確かに、不動産は大きな財産の一つです。ただ、不動産の相続は、相続した後の方が大変なことが多いかもしれません。不動産は、預貯金と異なり、すぐに現金として使えるわけではありません。さらに、不動産を所有していると、税金や維持費、管理の負担といった様々なお金の問題も生じます。

 不動産を相続する場合は、財産としての価値だけではなく、所有することによる負担についても考えることが大切です。

不動産の相続は「もらって終わり」ではない

 預貯金を相続した場合、銀行で名義を変更すれば、相続税を除けば、特に、その後、コストがかかるということはありません。しかし、不動産の場合は、相続した後の様々なコストがかかります。

 相続により不動産を取得した場合、名義変更が必要です。2024年4月から不動産の相続登記が義務化されています。不動産の登記には、登録免許税や司法書士の報酬といった費用がかかります。

にゃソラ

不動産の相続登記の義務化については、以下の記事参照

 また、不動産を所有している限り、固定資産税、都市計画税といった税金を支払う必要があります。

 さらに、建物は経年劣化していきます。そのため、修繕費や管理費がかかります。特に、空き家のまま放置すると、劣化が進み管理の手間が増えることにつながります。近隣に影響が出ると、行政から指導を受ける場合もあります。

実家の相続でよくある悩み

 実家の相続では、以下のような悩みがあります。

実家の相続でよくある悩み

①誰も住む予定がなく空き家になる

②遠方にあって管理・見回りができない

③売るか、残すかで家族の意見が分かれる

④兄弟で平等に分けにくい

⑤思いれがあって、感情的に判断が難しい

 現金や預貯金は、金銭的に平等に分けることが容易な財産です。しかし、不動産は、預貯金などと同じように分けることが難しい財産です。

 たとえば、「長男が実家を引継ぐ代わりに、他の兄弟に現金を渡す」といった調整が必要になるケースが多く、遺産分割で揉める原因になります。

 不動産を複数の相続人の共有にすると、管理や処分で意見が対立し揉めることになるかもしれません。

お金の面で確認したいこと

 実家や土地を相続するかどうかを判断するにあたって、最低限、以下の点を整理しておくといいでしょう。

確認項目内容
維持費固定資産税、都市計画税、管理費、修繕費など
修繕費建物の状態、修繕が必要か?
不動産の管理不動産を取得した場合、実際に管理ができるか?
将来の活用見込み自分が住むのか?売るのか?賃貸に出すのか?
不動産の価格売却する場合はどのくらいの価格なのか?
相続税の負担があるのか?

「感情」と「生活の見通し」の両方考える

 実家の相続は、「親が残してくれた家だから、手放したくない」という気持ちが自然と出てきます。一方で、維持できない不動産を抱え続けることが、生活の負担になる場合もあります。

 大切なのは、感情を否定せずに、不動産を所有し続ける場合のコスト・負担と手放す場合の選択肢を冷静に比較することです。不動産の財産としての価値だけでなく、今後の管理、生活への影響も含めて考えることが重要です。

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