相続分の放棄


ウサラ

お父さんの遺産分け、みんなで話し合ってるんだけどね…
「やっぱり、いらない」って言っちゃってもいいのかな?

にゃソラ

「相続分の放棄」ってやつだね。でも注意が必要だよ。
言葉の意味が似てる「相続放棄」とは、まったく別ものなんだ。

ウサラ

えっ?放棄って同じじゃないの?どっちも「いらない」ってことじゃないの?

にゃソラ

うん、言葉は似てるけど、手続きの意味も効果も全然違うんだ。
制度を知っておかないと、思わぬトラブルになることもあるよ。

 相続分の放棄について説明します。

 相続人は、相続開始後、遺産分割終了までの間、一方的な意思表示により自分の相続分を放棄できます。

相続放棄との違い

 相続分の放棄は、相続放棄とは異なります。相続分の放棄は、相続人の地位を維持したまま自分の相続分だけを放棄する単独行為です。

相続分の放棄相続放棄
相続人の地位相続人のまま相続開始の時点に遡って相続人でなくなる
放棄の対象プラスの財産のみ
負債の支払義務は残る
全て
負債も放棄できる
手続き特になし
遺産分割調停で行う場合は、本人の署名、実印の押印、印鑑証明書を求める運用
家庭裁判所に申立て
放棄できる期間遺産分割終了まで相続開始を知った後3カ月以内
にゃソラ

相続放棄については以下の記事参照

 相続分の放棄は、実務上、共有持分権を放棄する意思表示だと解されています。したがって、相続分の放棄をした相続人の相続分は、他の相続人にその相続分の割合に応じて帰属すると解されています。

具体例

被相続人Xの相続人は、妻Aと長男B・長女Cの3人である。

長女CはXの遺産はいらないと考えている。

Cが相続放棄をした場合

 Cが相続放棄をした場合、Cは相続開始時に遡って相続人ではなかったと扱われます。Xの相続人は、AとBの2人です。

 A、Bの相続分はそれぞれ2分の1となります。

Cが相続分の放棄をした場合

 当初の相続分は、A:2分の1、BとC:4分の1でした。

 Cが相続分の放棄をしたので、Cの相続分4分の1が、A:B=2:1の割合でAとBに分配されます。

 Aの相続分:3分の2×4分の1+2分の1=3分の2

 Bの相続分:3分の1×4分の1+4分の1=3分の1

 相続分の放棄は、以下のような場面で使われています。

相続分の放棄が使われる場面

①被相続人から生前贈与を受けている場合

②相続の争いに巻き込まれたくない場合

③遺産分割を早く終わらせたい場合

④少数の相続人に遺産を取得させたい場合

にゃソラ

特定の相続人に遺産を取得されたい場合は、相続分の譲渡が適しています。

 相続分の放棄をする場合、相続放棄と混同せずに区別することが重要です。

相続債務の支払義務は残る

 相続分の放棄は、相続人としての地位は残ったままです。そのため、相続債務の支払義務は残ります。相続債務の支払義務を免れたい場合は、相続放棄をしましょう。

撤回できない

 相続分の放棄の意思表示をしたら、撤回することはできません。相続分の放棄の意思表示をする前に、よく検討しましょう。

他の相続人全員の相続分が増える

 相続分の放棄をした場合、他の相続人全員の相続分が増加します。特定の相続人に遺産を集中させたい場合は、相続分の譲渡を検討しましょう。

ウサラ

なるほど…「相続分の放棄」って、「相続放棄」とは違うんだね?

にゃソラ

迷ったら、弁護士に相談して内容を確認してもらうのが一番安心だよ。

ウサラ

うん、わかった。
まずは相談ってことだね。

事前予約で夜間・土日祝日の相談も可能です06-6195-6503受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]

相続の相談の申込みはこちら お気軽にお問い合わせください。

PAGE TOP