相続は二次相続まで考えた方がいい?-後で後悔しないための基本-


ウサラ

お母さんが「私は多めにもらわなくていいよ」って言ってるんだけど、相続って、二次相続まで考えた方がいいって聞いて、急に難しくなってきたよ…

にゃソラ

うん、「今回の相続だけ見ればよさそう」って思って決めると、あとで次の相続で負担が重くなることがあるんだ。

ウサラ

えっ、相続って1回終わったら終わりじゃないの?

にゃソラ

配偶者がいる家庭では、今回の一次相続と、その後の二次相続をあわせて考えた方がいいことが多いよ。順番に見ていこう。

 被相続人の配偶者と2人以上の子が相続人の場合、子は後から相続すればいいと考え、特に異論がなく遺産分割協議が成立することが多いと思います。その後、残った親が亡くなった後の相続で、子らが揉めたり、相続税の負担が増えるケースがあります。

 そもそも、二次相続とは何なのでしょうか?以下のケースで説明します。

ケース

父Aが亡くなり、相続が発生した。

Aの遺産総額は、現預金・不動産など総額1億円

Aの相続人は、母のXと子のY・Zの3人

Aが亡くなった5年後に母Xが亡くなり、相続が発生した。

Xの相続人は、子のY・Zの2人

一次相続・二次相続

 父Aの相続を一次相続といいます。その後、母Xの相続を二次相続といいます。

二次相続まで考えるのか?

 一次相続の相続人は、母Xと子Y・Zです。Y・Zは、Xの相続でAの財産を取得することになるので、一次相続では、あまり揉めることなく遺産分割協議が成立することが多いです。

 しかし、Xの相続で、YとZが揉めることがあります。特に、どちらかがXの介護をしていた場合は、寄与分が問題になることもあります。

 また、一次相続で相続税を回避するために、全て配偶者であるXに相続させるというケースもあります。一次相続・二次相続のトータルでみると、かえって相続税の負担が増えることもあります。

 このような理由から、一次相続において、二次相続を見据えた遺産分割を考えることが大切です。

 二次相続を考えた方がいい理由を相続税の負担の観点から説明します。

配偶者の税額軽減

 被相続人の配偶者が遺産を取得した場合、配偶者の税額軽減の対象になります。以下の多い金額まで相続税がかかりません。

配偶者の税額軽減

①法定相続分

②1億6000万円

 一次相続で、配偶者が多く遺産を取得すれば、相続税がかからないので、一見すると、有利に見えます。しかし、二次相続で相続するのは、配偶者ではありません。二次相続では配偶者の税額軽減が使えません。そのため、一次相続と二次相続をトータルでみると、相続税の負担が増えるケースがあります。

基礎控除の金額が減る

 通常、二次相続は、一次相続より相続人の数が減ります。相続人の数が減るということは、相続税の基礎控除の金額が減ります。

 一次相続で相続した財産を二次相続でそのまま相続するような場合は、相続税の税額が増加します。

一次相続と二次相続の比較

 一次相続と二次相続では、相続税に関して、以下のような違いがあります。

一次相続二次相続
基礎控除法定相続人の数が多い法定相続人の数が少ない
配偶者の税額軽減使える使えない
小規模宅地の特例配偶者は無条件で使える要件が厳しく使えないことが多い

ケース

父Aが亡くなり、相続が発生した。

Aの遺産総額は、現預金・不動産など総額1億円→課税遺産総額

Aの相続人は、母のXと子のY・Zの3人

Aが亡くなった5年後に母Xが亡くなり、相続が発生した。

Xの相続人は、子のY・Zの2人

一次相続の相続税の総額

 一次相続の相続税の総額を計算してみましょう。

一次相続の相続税の総額

1億-(3000万+600万×3)=5200万円

5200万×2分の1×15%-50万=340万円→Xの相続税額

5200万×4分の1×15%-50万=145万円→Y・Zの相続税額

340万+145万×2=630万円→X、Y、Zが全員で負担する相続税額

①一次相続で母XがAの遺産を全て取得した場合

 母Xが取得した遺産は1億円です。配偶者の税額軽減の上限1億6000万円を下回っています。したがって、一次相続の相続税は0円です。

 二次相続でXの遺産がAの遺産1億円だとして、YとZが法定相続分(2分の1)で相続した場合の相続税を計算してみましょう。

二次相続の相続税額

1億-(3000万+600万×2)=5800万円

5800万×2分の1×15%-50万=385万円

385万円×2=770万円

 二次相続でYとZは、770万円の相続税を支払うことになります。一次相続と二次相続を合わせて770万円の相続税を負担します。

②一次相続で法定相続分どおりに相続した場合

 一次相続で、X・Y・Zが法定相続分どおりに相続した場合を考えてみましょう。

 一次相続の相続税総額を実際の取得割合に応じて按分します。

一次相続の相続税額

630万×2分の1=315万円→Xの相続税額

630万円×4分の1=157万5000円→Y・Zの相続税額

 Xは配偶者の税額軽減で相続税額は0円になります。一次相続の相続税額がY・Zの2人の315万円です。

 次に、二次相続でXの遺産がAの遺産5000万円だとして、YとZが法定相続分(2分の1)で相続した場合の相続税を計算してみましょう。

二次相続の相続税額

5000万-(3000万+600万×2)=800万円

800万×2分の1×10%=40万円→Y・Zの相続税額

 二次相続の相続税額は80万円です。一次相続と二次相続の相続税額は、合計で395万円です。

X・Y・Zが3分の1ずつ相続した場合

 一次相続で、X・Y・Zが平等に3分の1ずつ取得した場合を考えてみましょう。

 一次相続の相続税総額を実際の取得割合に応じて按分します。

一次相続の相続税額

630万円×3分の1=210万円→X・Y・Zの相続税額

 Xは配偶者の税額軽減で相続税額は0円になります。一次相続の相続税額がY・Zの2人の420万円です。

 次に、二次相続でXの遺産がAの遺産3333万円だとして、YとZが法定相続分(2分の1)で相続した場合の相続税を計算してみましょう。

二次相続の相続税額

3333万-(3000万+600万×2)=▲867万円

 基礎控除の範囲内なので、二次相続の相続税額は0円です。一次相続と二次相続の相続税額の合計は、420万円です。

 一次相続で配偶者の取得額を増やすと、二次相続の相続税額が高くなり、一次相続・二次相続トータルの相続税の負担は重くなります。

 しかし、だからといって、一次相続で配偶者の取得額を少なくすればいいというわけではありません。

配偶者の住まい・生活費は大丈夫?

 配偶者が住み慣れた自宅に住み続けられるか?配偶者の今後の生活費や介護費用の目途が立つか?という点は、重要です。

 二次相続の相続税対策のために、配偶者の取得額を少なくすれば、配偶者の生活が不安定になり、かえって、子の負担が増える結果につながります。

 一次相続において、二次相続まで見据えた遺産分割をする際には、以下のようなポイントを考えるといいでしょう。

①一次相続・二次相続のトータルで相続税を考える

 一次相続のみの相続税ではなく、二次相続も含めたトータルで考えることが重要です。

②配偶者の今後の生活費等を見積もる

 配偶者の今後の生活費等を見積もっておくと、配偶者にどの程度の遺産を取得させればいいかの目安となります。

配偶者の生活費等の見積もり

①毎月の生活費

②今後の医療費、介護費用

③自宅の維持費

④手元資金に余裕があるか?

③財産を誰が取得するのが自然か?

 相続税が安くなるからといって、相続人が利用しない、管理できない不動産を取得するのが合理的だとは思えません。

 遺産の種類ごとに、活用する人、管理できる人、換価しやすいかなども考慮して、誰がその遺産を取得するのが適切かを考えるのも大切です。

 以下のような場合、二次相続を見据えた遺産分割を検討すべきです。

相続税がかかるケース

 不動産など高額な遺産があって、相続税がかかる場合は、二次相続を見据えた遺産分割を検討する必要があります。

とりあえず配偶者に遺産の大半を相続させればいいと思っている

 一次相続では、子は、とりあえず父親又は母親に遺産の大半を取得させて、後の相続で取得すればいいと思いがちです。

 二次相続で兄弟姉妹で揉めたり、相続税の負担が重くなる可能性があります。

高齢の配偶者が相続人の場合

 被相続人の配偶者が高齢の場合、二次相続がそう遠くないことが予想されます。また、高齢の親の介護の問題が生じます。二次相続で揉めないように、一次相続で親を介護することになる相続人が多く遺産を取得するなど対策をとることが大切です。

ウサラ

なるほど、今回の税金が安いかだけじゃなくて、その後まで見て考えた方がいいんだね。

にゃソラ

うん、二次相続まで考えると見え方が変わることは多いよ。でも、配偶者の生活や家族の事情も大事だから、税金だけで決めないことがポイントだね。

ウサラ

うちの場合どう考えるのがいいか、ちゃんと整理したくなってきたかも。

にゃソラ

うん。迷うときは、一次相続と二次相続の両方を見据えて、早めに相談しながら考えていけば大丈夫だよ。

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