
お母さんの介護をずっとしてきたのに、相続の分け方は兄弟と同じなの?

そう思う人は多いけど、実は「寄与分」っていう制度があるよ。ただ…実務上は認められるのは限られているんだよ。

えっ、じゃあ意味がないの?

そうじゃないよ。制度を知っておけば、主張すべき場面を見逃さないで済むんだ。
具体的相続分において特別受益と寄与分が考慮されます。寄与分を解説します。
寄与分とは?
相続人の中に被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした場合、遺産分割において、特別な貢献を考慮します。特別な貢献をした相続人に与えられる相続財産の持分を寄与分といいます。
寄与分の考慮方法
みなし相続財産を算定する際に、相続財産の価額から寄与分を控除することで考慮します。
寄与分がある場合の具体的相続分
具体的相続分=(相続開始時の相続財産の価額-寄与分)×相続分+寄与分
寄与分の5類型
寄与分は、以下の5つに分類することができます。
①労務提供型
被相続人が営む事業に従事して、相続財産の維持増加に貢献した場合です。なお、被相続人が経営する会社に寄与した場合は、原則、寄与分は認められません。
②財産給付型
被相続人に対して財産を給付した場合です。金銭や不動産等の贈与が典型です。
③扶養型
被相続人を扶養した場合です。単に被相続人と同居していた場合や扶養義務の範囲内にとどまる場合は、寄与分は認められません。
④療養看護型
病気療養中の被相続人を看護していた場合です。実務上は、老親の被相続人を介護していたことを寄与分として主張するケースが多いです。寄与分が認められるには、介護が親族として期待される範囲を超えることが必要です。

詳しくは、以下の「療養看護型の寄与分」を参照
⑤財産管理型
被相続人の財産を管理した場合です。被相続人の不動産の管理が典型です。
寄与分が認められるための要件
寄与分が認められるための要件は、以下のとおりです。

各類型ごとに特別の寄与となる具体的な要件が決められています。
寄与分の主張
寄与分は、遺産分割協議において、相続人から主張する必要があります。寄与分は相続人の協議で決定します。相続人の協議で決まらない場合は、家庭裁判所での調停・審判において決定します。
遺産分割調停で寄与分の主張をすることはできます。協議が不調となった場合は、別途、寄与分を定める処分の調停を申立てる必要があります。
寄与分が認められにくい理由
実務上、寄与分が認められるケースは多くありません。その理由は、寄与分が認められる要件が厳しいのと、寄与分を認める証拠がないからです。
要件が厳しい
たとえば、療養看護型の場合、特別の寄与の要件を満たすには、以下の具体的な要件を充足することが必要です。
療養看護型の特別の寄与の要件
①療養看護の必要性
②特別の貢献
③無償性
④継続性
⑤専従性
療養看護型の必要性が認めれない、通常の扶養や親族として期待される範囲内と判断されることが多いです。
また、そもそも被相続人の財産の維持・増加がなければ、寄与分は認められません。
寄与分を認める証拠がない
寄与分について相続人同士の協議が整わない場合は、家庭裁判所での調停・審判になります。調停・審判になれば、証拠が必要です。
療養看護型の場合、家庭内という密室で行われた介護の事実をどのように証明するのか?という問題があります。実務上は介護記録や陳述書により判断しています。
相続人のみならず、裁判官を納得させるだけの証拠の提出が難しいケースが多いです。
寄与分を主張する?
実務上、寄与分が認められるケースは多くありません。寄与分を主張するかどうか?は、以下のような寄与分を主張することのリスクも踏まえて、検討が必要です。
寄与分を主張することのリスク
①遺産分割の長期化
②相続人との関係の悪化
③調停・審判で認められることが少ない
寄与分でお悩みの方へ

寄与分ってあるけど、認められるのは難しいんだね…

うん。でも制度を知っておくことで主張のチャンスを逃さないで済むし、他の制度と合わせて検討できるよ。

そっか。迷ったら弁護士に相談してみればいいんだね。

うん、まずはご相談くださいってことだよ。
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