遺産の評価-不動産編②-


ウサラ

同じ広さの土地なのに、相続の評価額が全然違うって聞いてびっくりしたよ!

にゃソラ

うん、土地って「どんな使われ方をしているか」や「誰の権利がついているか」で、価値が変わるんだ。

ウサラ

えっ、使われ方とか権利って、そんなに影響あるの?

にゃソラ

あるよ~。たとえば、更地・建物がある土地・借地権・底地…それぞれ評価の考え方が違うんだ。

 遺産を公平・適切に分割するには、遺産の評価が必要になります。不動産の具体的な評価を説明します。

 遺産分割は、現金・預貯金・不動産・株式などの財産から構成される遺産を具体的相続分に応じて、相続人に公平・適切に分配する手続です。遺産分割の前提として、遺産の経済的な価値を評価する必要があります。

 不動産の評価は、相続人間で合意できなければ、最終的には鑑定をします。鑑定によらない簡易な評価のための資料として、様々な資料に基づき相続人全員の合意を目指します。

にゃソラ

遺産分割における不動産の評価の資料については、以下の記事参照

遺産の評価-不動産編-

遺産分割における不動産の評価について解説します。

 土地といっても、更地、建付地、底地などがあります。それぞれ土地の評価が異なります。

更地

 建物が建っておらず、土地の使用収益を制約する権利が付着していない土地です。

 更地の評価は、取引事例比較法、収益還元法、原価法を関連付けて求めることになっています。しかし、これらを実践するには専門知識と実務経験が必要です。

 簡易な方法として、①地価公示価格、②地価調査標準価格、③相続税路線価、④固定資産税評価額等を参考に評価をします。

建付地

 建物が建っている土地で、建物と敷地の所有者が同じ土地です。

 土地の評価額と建物の評価額を合算します。土地の評価額は、建付地と更地としての最有効使用との格差、更地化の難易等を考慮した価格を標準とするとされています。

 建物が老朽化していて取壊しが必要な場合でも、一般的な鑑定評価としては、取壊し費用を土地の評価額から控除することはしません。 

底地

 借地権が付着している、つまり、他人に賃貸している土地です。

 底地の価格は、収益価格と比準価格を関連付けて決定するとされています。しかし、遺産分割協議、調停では、収益価格と比準価格を求めるのは困難です。そのため、更地価格から借地権割合を控除した価格で評価します。

 借地権割合は、60%~80%とすることが多いです。実務上は、路線価図に記載された借地権割合を参考にすることが多いです。

 借地借家法に基づく建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権です。他人の土地を賃借している場合です。

 実務上は、借地権価格は、更地価格に借地権割合を乗じて評価します。借地権割合は、路線価図に記載された借地権割合を参考にすることが多いです。

 建物には、自用の建物、借地上の建物、借家などがあります。それぞれ建物の評価が異なります。

自用の建物

 建物と敷地の所有者が同じ場合です。

 実務上は、自用の建物の評価は、固定資産税評価額によります。

借地上の建物

 敷地が他人の所有で、敷地の利用権が借地権である建物です。

 建物自体の評価額に借地権の評価を加えた価格となります。

借家

 建物と敷地の所有者が同じで、建物が賃貸されている場合です。

 実務上は、建物価格から借家権割合として3割を控除します。

 遺産分割に際して、不動産の評価をめぐりトラブルになることがあります。一般的に不動産は価値が高い財産です。また、その評価を高くするか、低くするかの差が大きい財産です。

 不動産の評価によっては、公平な分割とならないことがあります。不動産の評価は慎重に判断する必要があります。

ウサラ

う~ん…土地とか建物って、ホントに一言じゃ言えないんだね…

にゃソラ

そうだね。でも、どんな土地でも、ちゃんと評価のルールはあるんだ。そこを整理すれば、もめずに分けられるよ。

ウサラ

そっか。難しいけど、プロに見てもらえば安心だね!

にゃソラ

うん、まずは相談してみようってことだね。

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