
遺留分って、結局どれくらいもらえるの?どうやって計算するのか全然わからなくて…

手順に沿えば大丈夫だよ。遺産の総額から順番に計算していくんだ。

でも贈与とか借金とか、考えることが多すぎて不安だなあ…

そこがみんなつまずくポイント。計算手順を整理すれば安心できるよ。
遺留分権利者ごとの個別の遺留侵害額の計算方法を説明します。
- 1. 遺留分侵害額の計算
- 1.1.1. 遺留分侵害額の計算
- 1.1. 遺留分権利者の個別的遺留分の額
- 1.1.1. 個別的遺留分の額の計算
- 2. 遺留分侵害額の計算手順
- 2.1.1. 遺留分算定の基礎財産の算定
- 2.1.2. 個別的遺留分の額の算定
- 2.1.3. 遺留分権利者が受けた遺贈・特別受益を控除
- 2.1.4. 遺留分権利者が相続で得た額を控除する
- 2.1.5. 遺留分権利者が相続により負担する債務の額を加算する
- 3. 遺留分侵害額の計算でつまずきやすいポイント
- 3.1. 生前贈与はどこまで遡って考える?
- 3.2. 相続債務を把握してる?
- 3.3. 相続人に全ての遺産を相続させる旨の遺言がある場合
- 4. モデルケースで遺留分侵害額を確認
- 4.1. 具体例①(特定財産承継遺言)
- 4.1.1. 具体例①
- 4.2. 具体例②(生前贈与)
- 4.2.1. 具体例②
- 4.3. 具体例③(負債がある場合)
- 4.3.1. 具体例③
- 5. 遺留分でお悩みの方へ
遺留分侵害額の計算
遺留分権利者が、被相続人の財産から遺留分に相当する財産を受取れない場合の不足額が遺留分侵害額です。遺留分侵害額は、以下の方法で計算します。

特別受益と寄与分は、以下の各記事参照
遺留分権利者の個別的遺留分の額
遺留分権利者の個別的遺留分の額は、以下のように計算します。

遺留分算定の基礎財産と遺留分割合については、以下の各記事を参照
遺留分侵害額の計算手順
遺留分算定の基礎財産の算定
まず、遺留分算定の基礎財産を算定します。
「被相続人が相続開始時に保有していた財産+贈与財産-相続債務」
個別的遺留分の額の算定
遺留分権利者の個別的遺留分の額を計算します。
「遺留分算定の基礎財産×総体的遺留分割合×遺留分権利者の法定相続分」
遺留分権利者が受けた遺贈・特別受益を控除
遺留分権利者が遺贈・特別受益に当たる贈与を受けている場合は、その額を個別的遺留分の額から控除します。
遺留分権利者が相続で得た額を控除する
個別的遺留分の額から遺留分権利者が相続により取得した財産の額も控除します。
遺留分権利者が相続で取得した額は、法定相続分や指定相続分ではなく、特別受益を考慮した具体的相続分です。寄与分については考慮しません。
遺留分権利者が相続により負担する債務の額を加算する
個別的遺留分の額に、遺留分権利者が相続で負担することになる債務の額を加算します。
遺留分算定の基礎財産の算定において、相続債務を控除するのとパラレルです。
遺留分侵害額の計算でつまずきやすいポイント
遺留分侵害額の計算でつまずきやすいポイントをまとめました。
生前贈与はどこまで遡って考える?
遺留分算定の基礎財産の算定において、基礎財産に算入する贈与の範囲は、原則、相続開始1年前の贈与です。
相続人に対する贈与は、特別受益に該当し、かつ、相続開始10年前の贈与は基礎財産に算入します。
当事者が遺留分を侵害することを知って行った贈与は、上記の期間より前の贈与も基礎財産に算入します。
相続債務を把握してる?
被相続人の借金などの負債は、遺留分算定の基礎財産の算定において、基礎財産から控除します。被相続人の負債を正確に把握していないと、遺留分侵害額の計算が過大になってしまいます。
相続人に全ての遺産を相続させる旨の遺言がある場合
相続人の1人に全ての遺産を相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)がある場合、遺留分侵害額の計算に当たって、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の加算はできません。
モデルケースで遺留分侵害額を確認
具体例①~③のモデルケースで遺留分侵害額を計算してみましょう。
具体例①(特定財産承継遺言)
具体例①
被相続人X、相続人は配偶者A、長男B、長女C
相続財産:不動産・預貯金等6,000万円
全財産を長男Bに相続させる旨の遺言あり
遺留分算定の基礎財産は6,000万円です。
総体的遺留分は、6,000万円×2分の1=3,000万円です。
Aの個別的遺留分の額は、3,000万円×2分の1=1,500万円
BとCの個別的遺留分の額は、3,000万円×2分の1×2分の1=750万円です。
全財産をBに相続させる旨の遺言があるので、AとCが相続で取得する財産はありません。負担する債務もありません。個別的遺留分の額がそのまま、遺留分侵害額となります。
具体例②(生前贈与)
具体例②
被相続人Y、相続人は長男Dと次男E
相続財産:預貯金2,000万円
Yは亡くなる5年前にDに事業資金として3,000万円を贈与した
全財産をEに相続させる旨の遺言あり
遺留分算定の基礎財産は、2,000万円+3,000万円=5,000万円です。
総体的遺留分は、5,000万円×2分の1=2,500万円です。
DとEの個別的遺留分の額は、それぞれ、2,500万円×2分の1=1,250万円です。
Dの遺留分侵害額は、1,250万円-3,000万円=-1,750万円です。
Eの遺留分侵害額は、1,250万円-2,000万円=-750万円です。
具体例②では、D・Eともに、遺留分を超える財産を取得したので、遺留分侵害はありません。

遺産分割でDは遺産を取得できないので、一見すると遺留分侵害がありあそうです。しかし、Dは生前贈与を受けてるので遺留分侵害はありません。
具体例③(負債がある場合)
具体例③
被相続人Z、相続人は長女Fと次女G
相続財産:不動産・預貯金の4,000万円
相続債務:銀行からの借入の1,000万円
H(相続人ではない)に2,800万円を遺贈するとの遺言あり
遺留分算定の基礎財産は、4,000万円-1,000万円=3,000万円です。
総体的遺留分は、3,000万円×2分の1=1,500万円です。
FとGの個別的遺留分の額は、それぞれ、1,500万円×2分の1=750万円です。
FとGの遺留分侵害額は、それぞれ、750万円-600万円+500万円=650万円です。
遺留分でお悩みの方へ

なるほど…手順に沿えば、もらえる額がちゃんと見えてくるんだね。

そう。複雑なケースでも、計算の流れを押さえれば安心できるよ。

もし迷ったら弁護士に相談すればいいんだね。

うん、まずはご相談くださいってことだよ。
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