遺留分算定の基礎財産


ウサラ

遺留分って、もらえる最低限の取り分のことだよね?でも、どの財産を基準に計算するのかが分からなくて…

にゃソラ

そこが一番ややこしいところなんだ。亡くなった時の財産だけじゃなく、生前にあげた財産や借金も関わってくるんだよ。

 遺留分権利者の個別的遺留分を算定する際の基礎となる財産について解説します。

 遺留分権利者の遺留分は、遺留分割合によって算定します。遺留分割合に基づいて遺留分権利者の遺留分を算定する際の基礎となる財産が、遺留分算定の基礎財産です。

にゃソラ

遺留分割合については、以下の「遺留分」を参照

遺留分

遺留分の制度の概要を説明します。

遺留分算定の基礎財産の計算方法

 遺留分算定の基礎財産は、以下のように計算します。

遺留分算定の基礎財産の計算方法

被相続人が相続開始時に保有していた財産+贈与財産-相続債務

具体的相続分の算定の際のみなし相続財産との違い

 以下の点で、具体的相続分の算定における「みなし相続財産」と異なります。

みなし相続財産との違い

寄与分を考慮しない

②相続債務を控除する

③組込む贈与財産が異なる

④対象となる贈与は、相続人に対する贈与に限らない

 預貯金、不動産、株式など被相続人が亡くなった時点で保有していたプラスの財産です。

 遺贈がある場合、遺贈が債権的効力しかないものは、相続財産から履行されるので、基礎財産において考慮する必要はありません。

 基礎財産に組込む贈与は、民法の贈与契約(549条以下)に限らず、全ての無償行為が含まれます。一般社団法人への財産の拠出、信託の設定、無償での債務免除、無償での担保供与なども対象です。

相続開始1年前にされた贈与

 相続開始開始1年前にされた贈与は、遺留分算定の基礎財産に含みます。ここでいう贈与は、相続人以外の第三者に対する贈与です。

 贈与契約が相続開始前の1年間に締結されていることが必要です。1年より前に締結された贈与契約が、相続開始前1年以内に履行されたとしても、遺留分算定の基礎財産には含みません。

相続人に対する特別受益としての贈与

 相続人に対してなされた贈与が、①特別受益に該当し、かつ、②相続開始前の10年間にされた場合は、特別受益と評価される価額に限り、遺留分算定の基礎財産に含みます。

 相続人に対する贈与が特別受益に当たらない場合、贈与が相続開始1年前になされても、遺留分算定の基礎財産には含みません。

遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与

 当事者双方が、遺留分権利者に損害を与えることを知って行った贈与は、上記の期間より前になされていても、遺留分算定の基礎財産に含みます。相続人に対する贈与、第三者に対する贈与とも対象です。

にゃソラ

相続人に対する贈与については、特別受益と評価される価額に限り、遺留分算定の基礎財産に含みます。

 遺留分権利者に損害を加える事実を認識してれば足り、加害意思を有していたことは必要ありません。また、損害を加えることを認識してればよく、法律の不知や誰が遺留分権利者かを認識している必要はありません。

にゃソラ

遺留分権利者に損害を与えることを知っていたことは、遺留分権利者が主張・立証責任を負います。

 みなし相続財産と異なり、相続債務、つまり、借金等の負債を控除します。

 基礎財産は、相続開始時点の客観的な価額に基づいて評価をします。基礎財産に組込まれる贈与された金銭も相続開始時の貨幣価値に換算します。

ウサラ

なるほど…遺留分を計算する財産って、亡くなった時の財産だけじゃなくて、生前にあげた分や借金も見ないといけないんだね。

にゃソラ

そうそう。しかも生命保険や退職金みたいに、入るかどうか微妙なものもあるから、弁護士に確認した方が安心なんだよ。

ウサラ

うん、まずは相談してみれば安心だね!

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