
遺留分を侵害されたみたいなんだけど、誰に請求すればいいのか分からないよ…

うん、これは誤解しやすいポイントなんだ。ちゃんとルールがあるよ。
遺留分が侵害されている場合、遺留分権利者は誰に対して、遺留分額侵害請求をすればいいのでしょうか?複数の遺贈・贈与があった場合に問題が顕在化します。
- 1. 遺留分額侵害請求は、誰に対してする?
- 2. 受遺者・受贈者が複数いる場合
- 2.1.1. 受遺者・受贈者が複数いる場合のルール
- 2.1. 受遺者と受贈者がいる場合
- 2.2. 複数の受遺者がいる場合、同時になされた贈与がある場合
- 2.3. 複数の贈与がある場合
- 3. 受遺者・受贈者の遺留分の負担
- 3.1. 相続人以外が受遺者・受贈者の場合
- 3.2. 相続人が受遺者・受贈者の場合
- 3.3. 同順位者・先順位者が無資力の場合
- 4. 遺留分侵害額請求のよくある誤解と注意点
- 4.1. 受遺者・受贈者の誰か一人にまとめて請求すればいい?
- 4.2. 遺留分算定の基礎財産と相手方の関係
- 5. 遺留分でお悩みの方へ
遺留分額侵害請求は、誰に対してする?
遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分を侵害する遺贈・特定財産承継遺言・贈与を受けた人に対して、遺留分侵害額請求ができます。

遺贈を受けた人を「受遺者」
贈与を受けた人を「受贈者」
といいます。
受遺者・受贈者が複数いる場合
受遺者又は受贈者が一人の場合は、その人に対して、遺留分侵害額請求をします。問題は、受遺者・受贈者が複数いる場合です。民法は、受遺者・受贈者が複数いる場合のルールを規定しています。

特定財産承継遺言(相続させる旨の遺言)は遺贈と同じ扱いです。
受遺者と受贈者がいる場合
贈与と遺贈が併存する場合、遺留分は、まず、受遺者が負担します。受遺者が負担して足りない場合、初めて、受贈者が負担します。
複数の受遺者がいる場合、同時になされた贈与がある場合
複数の遺贈が存在する場合、遺贈財産の価額に割合に応じて受遺者が負担します。
複数の贈与が同時になされた場合も、贈与財産の価額に応じて受遺者が負担します。

遺言で別段の意思表示がある場合は、その意思表示に従います。
複数の贈与がある場合
同時ではない複数の贈与がある場合、後の贈与の受遺者から順次、前の贈与の受遺者が負担します。
受遺者・受贈者の遺留分の負担
遺留分を侵害している受遺者・受贈者が負担する遺留分侵害の額は、民法で決まっています。
相続人以外が受遺者・受贈者の場合
相続人以外の受遺者・受贈者が遺留分侵害額請求の相手方の場合、負担すべき遺留分侵害額は、遺留分算定の基礎財産に組込まれる遺贈・贈与の額が限度です。
したがって、遺留分侵害額請求の相手方となる受遺者・受贈者は、遺留分算定の基礎財産に組込まれる遺贈・贈与を受けた受遺者・受贈者に限られます。

以下の「遺留分算定の基礎財産」も参照
相続人が受遺者・受贈者の場合
遺留分侵害額請求の相手方の受遺者・受遺者が相続人の場合、その相続人も遺留分を有している場合があります。
したがって、受遺者・受贈者が相続人の場合は、遺贈・贈与の目的の価額から自らの遺留分を控除した額を限度に、遺留分侵害額を負担します。
同順位者・先順位者が無資力の場合
遺留分侵害額請求を行使しても、受遺者・受贈者に支払能力がない場合は、侵害された遺留分を取り戻すことができません。
この場合、相手方が無資力のリスクは、遺留分権利者が負担することになります。したがって、遺留分権利者は、同順位や後順位の受遺者・受贈者に対して、同順位・先順位の受遺者・受贈者が負担する遺留分を請求できません。
遺留分侵害額請求のよくある誤解と注意点
遺留分侵害額請求に関するよくある誤解と注意点をまとめました。
受遺者・受贈者の誰か一人にまとめて請求すればいい?
遺留分を侵害する遺贈・贈与が複数ある場合、受遺者・受贈者の誰か一人にまとめて遺留分侵害額請求をすればいいのではありません。
請求の順序と負担する遺留分の限度額が、民法で定められています。
遺留分算定の基礎財産と相手方の関係
遺留分算定の基礎財産と遺留分侵害額請求の相手方は、セットが理解する必要があります。
遺留分でお悩みの方へ

なるほど!請求する順番が決まってるんだね。

うん。相手を間違えると時間や労力がムダになることもあるから、弁護士に相談するのが安心だよ。

そっか、迷ったら弁護士に相談すればいいんだね。

そう、まずはご相談くださいってことだよ。
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