相続の対象となる財産・ならない財産


ウサラ

お父さんの財産って、全部私たちが相続するのかな?
保険とか年金とかも含まれるの?

にゃソラ

いい質問だね。実は、相続できる財産と、できない財産があるんだよ。

 相続が開始すると、相続人は被相続人の財産を包括的に承継します。しかし、被相続人の財産の全てが相続の対象になるわけではありません。

 相続の対象になる財産とならない財産を解説します。

 相続が開始すると、被相続人の財産は、原則、相続人が全て承継します。

相続人が承継する財産

①動産

②不動産

③債権

④債務

⑤財産法上の法律関係、法的地位

 ⑤財産法上の法律関係、法的地位とは、賃貸借契約の賃貸人としての地位や売買契約の売主として契約不適合責任を負う地位などです。

Point

借金などのマイナスの財産も相続の対象です。

 被相続人の財産であっても、一身専属性がある権利や祭祀財産は、相続の対象ではありません。

一身専属権

 帰属上の一身専属権は、相続の対象ではありません。帰属上の一身専属権とは、ある人だけが持てる権利のことです。

 たとえば、雇用契約上の地位は一身専属権です。ある労働者が働けなくなったからといって、代わりに、家族や知人が会社で働いてもいいかというと、そういうわけではありません。労働者本人が働かないと意味がないのです。

法律上、一身専属権とされているもの

①代理権

②使用貸借における借主の地位

③組合員の地位

④雇用契約上の地位

⑤配偶者居住権、配偶者短期居住権

法律の規定はないが、一身専属権とされているもの

①扶養請求権

②婚姻費用分担請求権

③離婚に伴う財産分与請求権

④生活保護の受給権

 これらの権利が、一定額の給付請求権として具体化していた場合、一身専属性が消滅します。したがって、相続の対象となります。

祭祀財産

 系譜、祭具、墳墓などの祖先祭具等を祭祀財産といいます。

 祭祀財産は、相続とは別の規律に服します。祭祀財産は、祖先の祭祀の主宰者に帰属します。したがって、相続の対象ではありません。

 祭祀主宰者は、以下の順序で決まります。

祭祀主宰者の決定

①被相続人の指定

②慣習

③家庭裁判所の審判

 相続の対象になるのか?受取人の固有の権利なのか?問題になるものとして、生命保険金請求権と死亡退職金があります。

生命保険金請求権

 生命保険は、契約により生命保険金の受取人を自由に指定できます。被相続人が亡くなった場合の生命保険金が相続財産かどうかは?保険金受取人をどのように指定していたかによります。

①特定の人に指定されていた場合

 保険金受取人がAと特定の人に指定されていた場合は、Aが相続人かどうかにかかわらず、生命保険金請求権は、Aの固有の権利となります。つまり、相続の対象ではありません。

②受取人を相続人と指定していた場合

 保険金受取人を相続人とだけ指定していた場合は、被保険者が亡くなった時点の相続人個人が保険金受取人と指定されたと解されます。

 したがって、被相続人が亡くなった時点の相続人が、保険契約を根拠に保険金請求書を取得します。つまり、相続の対象ではありません。

にゃソラ

相続税の対象にはなります。

③被相続人を受取人にしていた場合

 被相続人が自分を保険金受取人に指定していた場合は、相続の対象になります。

死亡退職金

 死亡退職金は、受取人の固有の権利と解されています。したがって、相続の対象ではありません。遺族年金も同様です。

ウサラ

なるほど、全部が相続財産になるわけじゃないんだね。
保険や年金は別なんだ。

にゃソラ

そうそう。どこまでが相続財産か知っておくと、手続きの見通しが立てやすいよ。

ウサラ

でも、自分で判断するのは難しそうだな…

にゃソラ

迷ったら、弁護士に相談すれば安心できるよ。

ウサラ

まずは、相談ってことだね!

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