
おじいちゃんから遺贈するって言われたけど…遺贈って何?特定遺贈と包括遺贈って、どう違うの?

うんうん、そこがややこしいところだよね。もらえるものが決まってるかどうかで、扱いが違うんだ。

えっ、同じ遺贈でも、そんなに違うの?

うん、順に整理してみようか。
遺贈の内、特定遺贈と包括遺贈について解説します。
- 1. 遺贈とは?
- 1.1. 遺贈の当事者
- 1.2. 遺贈の種類
- 1.2.1. 遺贈の種類
- 2. 特定遺贈とは?
- 2.1.1. 特定遺贈の例
- 2.1. 特定遺贈の効果
- 2.2. 特定遺贈のメリット・デメリット
- 2.2.1. 特定遺贈のメリット
- 2.2.2. 特定遺贈のデメリット
- 3. 包括遺贈とは?
- 3.1.1. 包括遺贈の例
- 3.1. 包括遺贈の効果
- 3.2. 相続人と異なる取扱い
- 3.2.1. 包括受遺者が相続人と異なる取扱いを受ける場合
- 3.3. 遺産分割との関係
- 3.4. 包括遺贈のメリット・デメリット
- 3.4.1. 包括遺贈のメリット
- 3.4.2. 包括遺贈のデメリット
- 4. 遺贈の放棄
- 4.1. 特定遺贈の放棄
- 4.2. 包括遺贈の放棄
- 5. 特定遺贈と包括遺贈の比較
- 6. 遺贈でお困りの方へ
遺贈とは?
遺贈とは、被相続人が遺言によって無償で自分の財産を他人に与える処分行為です。
死因贈与と似ていますが、遺贈は契約ではありません。無償の単独行為です。また、遺言によって行うので、要式行為です。
遺贈の当事者
遺贈をする被相続人を遺贈者といいます。
遺贈によって財産を与えられる人を受遺者といいます。受遺者は、第三者の場合もあれば、相続人の場合もあります。
遺贈の種類
遺贈には、以下の種類があります。
遺贈の種類
①特定遺贈
②包括遺贈
③条件付遺贈
④期限付遺贈
⑤負担付遺贈
⑥補充遺贈
⑦後継ぎ遺贈
⑧裾分け遺贈

今回は、①特定遺贈と②包括遺贈を取上げます。
特定遺贈とは?
特定遺贈は、個々に財産を特定して、遺贈の目的とするものです。
特定遺贈の例
①甲不動産をXに譲る
②自分の遺産から1,000万円をYに譲る
③終身の配偶者居住権を妻Zに取得させる
特定遺贈の効果
受遺者は、特定された財産を取得します。受遺者は、権利のみを取得します。
特定遺贈の対象財産は、遺産分割の対象から除外されます。なお、受遺者が相続人の場合は、遺産分割において、特別受益者として、相続分が修正されます。

特別受益については、以下の記事参照
特定遺贈のメリット・デメリット
特定遺贈には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
特定遺贈のメリット
①対象の財産と受遺者が決まっていて、遺産分割を必要としないのでトラブルを回避しやすい
②受遺者が負債を引き継ぐことがない
③遺贈の放棄が簡単
特定遺贈のデメリット
①遺言作成から長期間経過している場合、対象の財産がなくなっている可能性がある
②受遺者が遺留分侵害額請求を受ける可能性がある
③受遺者が第三者の場合、不動産取得税の支払いが必要
包括遺贈とは?
包括遺贈は、遺産の全部又は一定割合で示された部分の遺産を遺贈の目的とするものです。包括遺贈には、①全部包括遺贈と②割合的包括遺贈があります。
包括遺贈の例
①自分の全財産をXに譲る:全部包括遺贈
②自分の財産の3分の1をYに譲る:割合的包括遺贈
包括遺贈の効果
包括遺贈の受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します。つまり、遺贈された遺産の全部又は一部は、遺贈の効力発生と同時に当然に、権利だけでなく、義務も含めて包括的に受遺者に移転します。
相続人と異なる取扱い
包括遺贈の受遺者は、相続人と同様の取扱いを受けることになります。しかし、以下の点については、相続人と異なる取扱いを受けます。
包括受遺者が相続人と異なる取扱いを受ける場合
①包括受遺者に代襲は生じない
②包括受遺者に遺留分はない
③割合的包括受遺の場合、他の相続人等が相続放棄等をしても、自分の取分は増えない
遺産分割との関係
全部包括遺贈の場合、遺産分割の対象財産は存在しません。したがって、遺産分割の余地はありません。受遺者に対する遺留分のみが問題となります。

遺留分については、以下の記事参照
割合的放棄遺贈の場合は、遺産分割が必要です。割合的包括受遺者が相続人以外の場合、遺産分割の当事者として、遺産分割の手続きに関与します。
包括遺贈のメリット・デメリット
包括遺贈には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
包括遺贈のメリット
①遺言者が簡単に遺言を作成できる
②割合的包括遺贈の場合、受遺者が遺産分割協議に参加し財産の取得希望を主張できる
③受遺者が第三者の場合、不動産取得税がかからない
包括遺贈のデメリット
①受遺者が負債を引き継ぐ
②遺贈の放棄が煩雑
遺贈の放棄
遺贈は、被相続人が単独で行う処分行為です。受遺者の知らない間に、遺贈が行われることもあります。そのため、受遺者は、遺贈を放棄できます。
特定遺贈の放棄
特定遺贈の受遺者は、遺言者の死後、いつでも遺贈を放棄できます。特定遺贈の放棄は、遺贈義務者又は遺言執行者に対する意思表示で可能です。
包括遺贈の放棄
包括遺贈の受遺者は、相続人と同様に扱われます。つまり、相続放棄に関するルールが適用されます。つまり、包括遺贈を放棄する場合は、3か月の熟慮期間内に、家庭裁判所に申立てをする必要があります。

相続放棄については、以下の記事参照

割合的包括遺贈の受遺者が相続人の場合、遺贈を放棄しても相続人としての地位は失いません。
特定遺贈と包括遺贈の比較
| 特定遺贈 | 包括遺贈 | |
| 内容 | 遺産の内の特定の財産を取得する | 遺産の内の特定の割合を取得する |
| 債務の負担 | 債務は承継しない | 特定割合に従い債務も承継する |
| 遺産分割への関与 | 遺産分割に関与しない | 遺産分割に参加できる |
| 遺贈の放棄 | 簡単 | 家庭裁判所に申立てが必要 |
遺贈でお困りの方へ

なるほど~。特定遺贈と包括遺贈って、もらい方も責任も全然違うんだね!

そうそう。遺言を作るときも、もらうときも、ここを間違えるとトラブルになりやすいんだ。

そっかぁ…迷ったら、弁護に相談すればいいんだね!

うん、まずはご相談くださいってことだよ。
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