生命保険は相続でどう扱われる?


ウサラ

お父さんが亡くなって、生命保険金が出るみたいなんだけど、これって遺産としてみんなで分けるの?

にゃソラ

そこ、すごく迷いやすいところなんだ。生命保険金は、ふつうの預貯金みたいにそのまま遺産分割の対象になるとは限らないんだよ。

ウサラ

じゃあ、相続と関係ないの?

にゃソラ

関係はあるよ。遺産分割の対象になるかどうかと、相続税の対象になるかどうかは、別に考える必要があるんだ。

ウサラ

わ、ややこしい…

にゃソラ

順番に整理していけば、大丈夫だよ。

 「親が亡くなって生命保険金が支払われるけど、これって遺産分割しないといけないの?」と疑問に思う方は少なくありません。

 結論から言うと、通常、生命保険金は遺産分割の対象になりません。しかし、みなし相続財産として相続税の対象になります。

 生命保険金が、相続でどう扱われるのか?を説明します。

 生命保険契約の被保険者が亡くなった場合の死亡保険金は、以下の3パターンがあります。それぞれ、取扱いが異なります。

契約者被保険者保険金受取人
A(被相続人)A(被相続人)B(相続人等)
A(被相続人)B(相続人等)A(被相続人)
A(被相続人)B(相続人等)C(家族等)

 ここでは、保険契約者・被保険者が被相続人、保険金受取人が特定の相続人の生命保険について取上げます。

生命保険金の相続での取扱いのポイント

①通常、生命保険金は遺産分割の対象にならない

②通常、生命保険金は、みなし相続財産として、相続税の対象になる

③生命保険金が相続税の対象になる場合、一定の非課税枠がある

 保険契約者・被保険者が被相続人、保険金受取人が長男など特定の相続人の生命保険契約に基づく死亡保険金請求権は、保険金受取人の固有の権利です。したがって、相続の対象ではありません。相続の対象ではないということは、当然、遺産分割の対象になりません。

Point

保険金受取人である相続人の固有の権利なので、相続放棄をした場合も死亡保険金を受取れます。

保険金受取人を相続人と指定していた場合

 保険金受取人を特定の相続人ではなく、単に相続人と指定していた場合はどうでしょうか?この場合、被保険者が亡くなった時点の相続人個人が保険金受取人と指定されたと解されます。

 したがって、被相続人が亡くなった時点の相続人が、保険契約を根拠に保険金請求書を取得します。つまり、相続の対象ではありません。

不公平が問題となる場合がある

 生命保険金は、遺産分割の対象になりません。そのため、たとえば、長男だけが高額の死亡保険金を受取ったなどと他の相続人と揉めるケースがあります。

 死亡保険金の受取人である相続人と他の相続人との間に生じる不公平が特別受益の趣旨に照らして、到底是認することができないほど著しいと評価すべき特段の事情がある場合は、特別受益に準じて持戻しの対象になります(最高裁平成16年10月29日判決)

にゃソラ

特別受益については、以下の記事参照

特別受益

特別受益の概要を説明します。

 保険契約者・被保険者が被相続人、保険金受取人が特定の相続人の生命保険金は、相続の対象ではありません。しかし、死亡保険金を取得するための費用である保険料は、生前に被相続人が支払いをしています。つまり、被相続人の財産を被相続人が亡くなったことにより、相続人が取得したといえます。これは、実質的には、相続によって財産を取得したといえます。

 したがって、相続税法上は、みなし相続財産として、相続税の対象になります。

 生命保険金が相続税の対象になる場合、生命保険金の全てが課税対象になるわけではありません。生命保険金には、非課税枠があります。

生命保険金の非課税枠

500万円×法定相続人の数

 死亡保険金の金額が、非課税枠の範囲内であれば、相続税の対象にはなりません。

Point

非課税枠があるので、生命保険金を相続税対策として活用することができます。

生命保険金の非課税枠のイメージ

 生命保険金の非課税枠を具体例でイメージしてみましょう。

具体例①

被相続人Aが死亡

相続人は、配偶者Xと子Y・Zの3人

配偶者Xが1200万円の死亡保険金を受取った

 法定相続人の数は3人なので、生命保険金の非課税枠は、500万円×3人=1500万円です。死亡保険金が1200万円で、非課税枠1500万円の範囲内です。したがって、このケースでは生命保険金は非課税です。

具体例②

被相続人Aが死亡

相続人は、配偶者Xと子Y・Zの3人

子Yが2000万円の死亡保険金を受取った

 法定相続人の数は3人なので、生命保険金の非課税枠は、500万円×3人=1500万円です。死亡保険金が2000万円で非課税枠1500万円を超過しています。超過している500万円が相続税の課税対象財産となります。

非課税枠が使えない場合

具体例③

被相続人Aが死亡

相続人は、配偶者Xと子Yの2人、子Zは相続放棄をした

子Zが1000万円の死亡保険金を受取った

 まず、生命保険金の非課税枠の計算上、Zの相続放棄はなかったものと扱います。つまり、法定相続人の数は3人なので、生命保険金の非課税枠は、500万円×3人=1500万円です。死亡保険金が1000万円なので、非課税となりそうです。

 しかし、Zは相続放棄をしているので、非課税枠を使うことができません。したがって、死亡保険金1000万円が課税対象となります。

 生命保険金の相続では、以下のような点に注意が必要です。

生命保険金の契約を確認する

 生命保険金の相続では、生命保険の契約を確認することが必要です。契約によっては、相続税の対象になったり、贈与税の対象になったりします。

生命保険金が高額な場合

 特定の相続人だけが、高額の生命保険金を受取った場合、相続人間で不公平感が出てしまいます。あらかじめ、遺言書を作成して、生命保険金を受取らない相続人に対する配慮をしておくのが望ましいです。

相続税がかかるか?判断に迷う

 生命保険金の金額が、非課税枠の範囲内であれば、生命保険金については相続税はかかりません。非課税枠を超過している場合は、他の遺産との兼合いで相続税がかかるかどうか?が決まります。

 生命保険金だけではなく、預貯金、不動産、株式、投資信託といった他の財産を含めて、遺産全体を把握することが必要です。

にゃソラ

相続税については、以下の記事参照

ウサラ

生命保険って、「遺産として分けるか」と「税金がかかるか」を分けて考えないといけないんだね。

にゃソラ

うん。そこが整理できるだけでも、かなり分かりやすくなるよ。

ウサラ

でも、保険の契約がどうなってるとか、相続税の計算とか、自分だけで判断するのはちょっと不安かも…

にゃソラ

そんなときは、契約内容や相続財産全体を見ながら確認していけば大丈夫。迷ったら、早めに専門家に相談してね。

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